お知らせ

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2020.07.17

コロナ禍で優先すべきは地域社会と社員

コロナ禍で優先すべきは地域社会と社員

アルコール・清涼飲料水製造の世界的リーディングカンパニー、サントリーホールディングス株式会社(サントリー)は長期的には地域社会活性化のための取り組みが会社とステークホルダーに利益をもたらすという信念の下、株主資本主義からステークホルダー資本主義に転換を図っている。

現在のコロナ禍にあってはなおさらそうだ。サントリーホールディングス代表取締役社長新浪剛史氏は活気に溢れた地域社会が企業存続のための基盤をもたらし、これが株主への安定的なリターンを確実にする唯一の方法だと言う。

この困難な時期に地域社会を活性化するためには形にとらわれない考え方が必要だと新浪氏は話す。

「自分以上に苦しんでいる人たちがいることを理解する。そして行動を起こしてみよう。“やってみなはれ”‐我が社でずっと引き継がれている価値観の1つです」と、最近行われたジャパンタイムズとのインタビューで新浪氏は語った。「目下の危機を共に生き残るために、世界全体がこのように行動し始めたことについて、私は深い感銘を受けています」

サントリーが最近取り組んでいる新たな試みの1つはインターネットサービス事業者Gigi(ジジ)株式会社が運営する飲食店応援プロジェクト『さきめし』の支援だ。『さきめし』は新型コロナウイルスの感染拡大によって深刻な売上減少に苦しんでいる飲食店を支援する方法を2つ提供している。1つ目の方法は応援したい飲食店のチケット(食券)を先に購入するというもの。この食券はコロナ禍が収まって店に食事に行った際に使うことができる。2つ目は外食業界全体への寄付だ。
※『さきめし』参考リンク
https://www.sakimeshi.com/

「私たちはお気に入りの店への援助を惜しまない人たちのために何かしたい。我が社の知名度の高さがこの応援プロジェクトへの参加において、飲食店とお客様に安心感を与えられればよいと思っています」と新浪氏は言う。

5月19日現在、日本全国から飲食店約6,000店が本サービスに登録済だ。当然のことながら、これら飲食店の多くはサントリーの取引先だが同社が外食産業支援に尽力する理由はこれだけではない。

「当社も事業の一環として外食業を展開しているので飲食店の窮状は理解しています。コロナ禍に伴う自主休業後に飲食店が営業再開にこぎつけたとしても、いつ客足や売上が完全に回復するのか予想もつかないのです」

新浪氏は外食産業は日本のソフトパワーとサービス業の根幹における1つの重要な形態だと指摘する。「オリンピックを例に挙げると、人々はオリンピックを観戦するためだけでなく、滞在中の食事など様々な体験を楽しむために開催国を訪れるのです」と外食産業救済の重要性を強調する。

その一方、サントリーは外出自粛が求められる中にあって、国民への励ましを込めたプロジェクト『話そう。』を開始。『話そう。』は有名芸能人とプロアスリート総勢37名が数人のグループに分かれビデオ通話で会話を楽しむ様子を収めたシリーズ動画でネットやテレビで放送された。
※『話そう。』参考資料
https://www.advertimes.com/20200515/article314191/

東日本大震災直後、サントリーは被災地の人々への応援と連帯感を示すべく、往年の名曲『上を向いて歩こう』と『見上げてごらん、夜空の星を』を複数の有名人が歌いつなぐテレビCMを制作し放送した。

ワンフレーズ毎に歌い手が変わる“歌のリレー”2曲は日本中の大勢の人々の心を打ったと新浪氏はいう。

震災発生当時、人々は一緒になって、お互いや被災地を支援しようと他県からやって来た人々を励ました。しかし、今回は人との接触を避けなければならない。

「それが、『話そう。』をテーマに選んだ理由であり、また人と会って直接話せる時が来るまで精神的な健康を保つ上で、テクノロジーの力を利用してつながるという方法がまだ残されているのだと、人々を安心させたかったのです」と新浪氏は語り、他者とのつながりが人々の生活を人間らしくすると強調した。多くの世界的企業と同じく、サントリーも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いに貢献している。サントリーグループの一員で米シカゴに本拠地を置くプレミアムスピリッツメーカーのビームサントリーとサントリー大阪工場は医療施設支援として消毒液を製造している。

「この種の活動は社員たちがモチベーションとプライドを持っているからこそ可能になります。私はこのような人たちと共に働くことができて非常に光栄です。これは我が社の価値観と無形資産の1つだと考えています」

COVID-19の世界的流行により経済活動が停滞しているこの時期に、新浪氏は新入社員を含め、世界中の大勢の社員をオンライン対話に招待した。1回約1時間のセッション毎に社員6~9名が招かれた。「それぞれの現場の声を聞くことができました。対話を通じて私自身も励まされました」と新浪氏は話す。

これらの対話の中で、新浪氏はサントリーが環境・社会・ガバナンス(ESG)要素に関連した活動での取り組みを続けていくことを再確認した。

ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルのリサイクルおよび石油由来PETボトルから植物由来PETボトルへの切り替えに加え、サントリーはオフィスのペーパレス化における取り組みも加速させており、2022年までのCO2排出量54トン削減を目指し、紙の使用量を年間300万枚減らすという目標を掲げている。

「ステークホルダーに向けたサントリーグループの約束は“水と生きる”です。私たちの目標は株主のためだけでなく社会全体のために、環境に良い取り組みを実践・支援することです」と新浪氏は話す。さらに、「COVID-19との戦いを通し、ひとつの地域内での人口と産業の過密はパンデミックの影響を受けやすいことが明らかになりました」とした上で、天然資源を有効活用している小さめの地域単位で経済活動を維持することが重要だと強調した。

また、感染症のパンデミックなどの様々なシナリオを考慮し、企業のグローバルサプライチェーンを1つの国に過度に依存しない方法に見直すことも大切だと言う。
「我が社だけでなく、欧州企業を含む全員が中国に依存し過ぎていると認識しなければなりません」と新浪氏は言う。「中国は大切なパートナーであり続けるでしょうが、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内の企業や国内の中小企業の存在にも目を向ける必要があります。私たちはアジア全体のグローバルサプライチェーンを持続可能にする方法について検討しなければならないのです」
こういった見直しはコスト増を招くかもしれないが、新浪氏によるとデジタル化推進によりその他のコストを削減できるという。
「グロスマージン(粗利益)を増加させるよりも、(企業の)価値と透明性の向上に重点を置くべきなのです」

本記事は、The Japan Times ESG特集号に掲載された英文記事の和訳です。
原文はこちら(英文)
https://www.japantimes.co.jp/esg-consortium/2020/06/17/esg-consortium/community-workers-prioritized-amid-pandemic/