お知らせ

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2019.12.06

ESG の取り組みは急務

ESG の取り組みは急務

世界の気温上昇を抑え、環境破壊を防ぐことに対する働きかけが強まる中、日本勢を含む企業や投資家にはすぐさま果たすべき役割がある―これが11月19日に東京で開催された「脱炭素経営フォーラム~VISION から ACTION へ~」で発信された重要なメッセージだ。

このフォーラムは、CDP と環境省が共催した。ロンドンに拠点を持つ非営利団体 CDP は、投資家や企業、地方自治体などが環境影響を管理する手助けをするための、グローバルな情報開示システムを運営している。

CDP の CEO ポール・シンプソン氏は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が昨年発表した報告書を紹介した。この報告書は、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ2度未満ではなく、1.5度未満に抑えられない場合はどうなるかを予測している。

「この0.5度がもたらすコストは多大です」と、シンプソン氏はフォーラムを開会する基調セッションで述べた。このコストの例えとして、シンプソン氏はサンゴ礁の破壊により魚が激減する可能性や、北極圏のさらなる氷河の融解など、起こりうる大惨事を挙げた。

続けてシンプソン氏は、2050年までに温暖化ガスの実質ゼロ排出目標を実現するためには、今後10年で温室効果ガスの排出量を半分に削減し、さらにその次の20年で、またその半分に削らなければならないと述べた。

最近日本を襲った台風をはじめ、頻度と激しさを増す気象関連の災害や、近年の世界で起きている記録的な気温上昇は、温暖化対策が待ったなしの状況にあるという警鐘だと、シンプソン氏は語った。

「これは私たちにとっては難しいことです。なぜなら、私たちは去年あったことに基づいて経済運営をしがちだからです」と、シンプソン氏は話した。そして、「私たちがしなくてはいけないことは、これから10年、20年後に何が起こるか、ということに基づいた経営をし、それにかかるコストと必要な変更を今、私たちの決断に取り入れることです」と述べた。

一方、野村アセットマネジメントの CEO で代表取締役社長の中川順子氏は基調セッション内の自身のスピーチで、気候変動がもたらす影響への認識は高まってきていると指摘した。

「こうした中、脱炭素社会実現のためにわれわれの業界、資産運用会社も、具体的な行動を取るといった感じはあると思います」と、同社初の女性社長となった中川氏は述べた。

中川氏は、野村アセットマネジメントが投資先企業に対して、気候変動問題への対応や情報開示などを経営戦略に盛り込むよう求めていると説明し、そうした対話の重要性も強調した。

「私たちは今、日本企業に投資している先としては2,400社、その企業様とのミーティングは延べ5,500件に上っています。また ESG(環境、社会、ガバナンス)をテーマとしたミーティングも300件超ということになっています」と中川氏は話し、「相当な数に及ぶとみていただけるかと思います」と述べた。

この対話とは、温室効果ガスの排出量や中長期的な気候変動関連の重要業績指標(KPI)、そして気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応などだと、中川氏は説明した。

続けて、ダイベストメントも投資先企業の気候変動関連の改善を促す一つの投資手法だと述べた。

「しかし、株式などを投資しない、つまり投資を引き上げてしまいますと、こうした投資先企業との対話の機会もなくすことになりますので、改善を要求できなくなってしまうという難しさもあります」と、中川氏は語った。

そうした基調講演の後、シンプソン氏と環境省地球環境局地球温暖化対策課の課長・奥山祐矢氏は、著名なジャーナリストである国谷裕子氏がモデレーターを務めたディスカッションに参加した。ここでは日本の対応についての質疑もあった。

シンプソン氏は、日本企業の ESG などの温暖化対策について「多くの進展」が見られると述べ、大企業による、特に TCFD 関連における情報開示や、科学的知見に基づく目標の設定を評価した。

一方で、改善すべき点もあるとシンプソン氏は指摘した。

「現在1.5(度)にコミットしている企業数が十分でないのは明らかで、その難しさも私たちは理解しています」と、シンプソン氏は語った。

シンプソン氏は、日本は再生可能エネルギー分野で立ち遅れていると述べ、石炭にこれ以上依存しないよう強く要望した。また、より多くの中小企業に情報開示するよう呼び掛けてきたが、それは日本に限った問題ではないとも強調した。

「ビジネスと投資家、政府との間で求められることについて、より良い対話が必要かもしれません」と、再生可能エネルギーに関してシンプソン氏は話した。

環境省の奥山氏は一つの問題点として、日本企業には ESG や企業の社会的責任(CSR)の担当者と経営層との間に、「意識のギャップ」があることを指摘した。また経営層は、温暖化や気候変動リスクが自分たちの事業活動と直接どのような影響があるのか、なかなか見えていないという懸念も示した。

「そういった話が、悩みとして大きいかなと思います」と、奥山氏は述べた。

環境大臣の小泉進次郎氏も出席したこのフォーラムは、トヨタ自動車と、リスクマネジメントシステム認証や外部監査などを提供するヨーロッパのソコテックグループが協賛した。

本記事は、The Japan Times 本紙に掲載された英文記事の和訳です。
原文はこちら(英文)
https://www.japantimes.co.jp/esg-consortium/2019/12/01/esg-consortium/compelling-need-adoption-esg-goals/