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2019.05.09

連携がアジアでの社会的投資推進の鍵

連携がアジアでの社会的投資推進の鍵

社会的投資とは、業績と社会価値創造のために資金を調達するさまざまな手法を指す。伝統的なフィランソロピーなど影響を及ぼすことを主眼とした取り組みから、ベンチャーフィランソロピー、インパクト投資、そして環境、社会、ガバナンス(ESG)の評価やそれらの統合を通じた社会的責任投資といったものがある。

これまでアジアは社会的投資の面で世界の他の国に後れを取っていたが、この地域全体でイノベーションが起きている。この原稿では、AVPN(Asian Venture Philanthropy Network)が見てきた、アジア全体で起きているいくつかの大きな傾向について紹介する。

まず1点目に、持続可能な投資に関連する新たな商品についての関心の高まりから、機関投資家は投資先を広げているということ。

2点目として、ソーシャルエコノミーを促進する上で、政府は投資ファンドを作り、支援する法律を制定するなど、重要な役割を果たしているということ。

3点目としては、インパクト投資や社会事業のメンタリングといった、新たに関与する方法を開拓している企業があるということ。

他の傾向として、宗教における寄付が圧倒的な国がいくつかあるということ、そして戦略的なフィランソロピーにおいて、トレンドを打ち出す財団が増加していることが挙げられる。

企業、政府、そして投資家はそれぞれの大きな影響を与える取り組みにおいてより洗練されてきているが、彼らは組織やセクターの障壁を超えずに、自組織内や同セクター内で動きがちであることを、AVPN は把握した。多方面にわたる大きな課題に対応するには、このことはそれらの取り組みの有効性を大きく損ねる。

中間支援団体は、地域のニーズに合うプロジェクトを提供することや、地域または世界の資金提供者を引き込むことで、連携への意欲を醸し出す手助けができる。

さまざまなレベルでの持続可能な投資の経験を持つ投資家は、専門知識を共有し、手段の構築に参加できるだけでなく、投資機会と商品の持続可能性を評価するよう仲間に勧めるための基準を作ることができる。

ロックフェラー財団の支援を受け、FSG Advisory Services と AVPN が作成した最近のレポート “Financing the Future of Asia: Innovations in Sustainable Finance” では、持続可能な投資の可能性を最大限に引き出す3つの段階を明らかにしている。

第一段階として、利害関係者は新たな金融的な手段を「作る」ことをしなければならない。

続いて、リスクキャピタルはまだ試されていない、こうした手段が投資に備えられるよう、それらを「強化する」ことをしなければいけない。

最後に、セクターへの参加者は連携し、こうした手段が「主流になる」よう、資金を動員しなければならない。

例えば、1980年代にバングラデシュでマイクロファイナンスのモデルが出てきたとき、それは地方の貧しい人たちを小額融資で支援するという画期的な手法だった。このモデルはすぐに他の国々やマーケットの目に留まり、異なるマーケットのニーズに合うよう、そして顧客基盤を広げられるよう適応した。

今やマイクロファイナンスは非常に大規模な産業になり、2017年には世界中で低所得の1億4,000万人の顧客がおり、貸付は1,000億ドルとなっている。

日本は社会的投資、特にESG 投資関連において、非常に大きな進歩を遂げている。

2017年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、保有株式の3パーセント、つまり1兆円を、ESG 指数を追うパッシブファンドに割り振ることを発表し、この数字を10パーセントに上げる方針も示した。

画期的なこの関与に続いて、台湾の労働基金運用局は4,250億円のパッシブ投資を約束し、タイの政府年金基金は ESG に絞った35億円相当のポートフォリオを立ち上げた。

GPIF や日本のソーシャルインパクトボンド市場への三井住友銀行など機関投資家の参入は、民間資金調達の非常に大きな可能性を示している。

持続可能な投資が20パーセントを超えるアメリカや50パーセントのヨーロッパと比較すると、この投資が合計資産の3.5パーセントに満たない日本にはまだ、主流の投資家が埋めることのできる、かなり大きな機会のギャップが存在する。

社会的投資の見本となり得る、アジア発の興味をそそるイノベーションには、中国のグリーンボンドへの関与がある。中国は2015年に初めてグリーンボンドを起債し、現在は世界で二番目に大きなグリーンボンド市場となっている。4年のうちに、中国は800億ドル以上のグリーンボンドを発行した。

香港もグリーンボンドのハブとなりつつあり、最近1,000億香港ドルのソブリングリーンボンド助成プログラムを発表した。

香港と中国本土の債券市場をつなぐ、この「香港ボンドコネクト」プログラムは、世界からの投資を中国のグリーンボンド市場へ促進させるものでもある。

ほかにグリーンファイナンスに関連するイノベーションとしては、最近の5つのグリーンボンド指数の導入、そして15のグリーンアセットバック証券の発行がある。こうした目覚しい進展は、アジアにおけるグリーンボンドとグリーンファイナンスの潜在的な可能性を示している。

AVPN が目指すのは、社会的投資家のための態勢を整え、彼らがより効率的に資金を投資、展開できるようにすることだ。

6月25日から28日までシンガポールで開催される、アジア最大の社会的投資に関する会議 AVPN Conference 2019 では、世界中から有力な資金やリソースの提供者1,000人以上が一堂に会し、画期的なベストプラクティスを共有し、十分な支援を受けていなかった課題に関して連携し、最大限のインパクトが得られるよう動きを進める。

会議の詳細については、https://avpn.asia/を参照のこと。

本記事は、The Japan Times 本紙に掲載された英文記事の和訳です。
原文はこちら(英文)
https://www.japantimes.co.jp/esg-consortium/2019/04/28/esg-consortium/ties-key-driving-social-investment-asia/